補助人工心臓(VAD)について
左室補助人工心臓:Left Ventricular Assist Device (LVAD)
現在のところ、命の危険が差し迫った重症心不全に対するもっともよい治療法は、心臓移植であると言われています。
しかしながら心臓移植は、それを必要とする患者さんの数に対して実施件数が非常に少なく、特に日本では待機期間の長期化が問題になっています。
実際に心臓移植の待機を登録してから移植を受けられるまでには3年から5年も待たなくてはならないと言われています。
その移植待機期間を患者さんが安全に過ごすために、心臓の働きをサポートする機械が、左室補助人工心臓(LVAD)です。
当院では、日本で植込み型のLVADが2011年に保険認可される前の時代から、体外設置型のLVADを用いて重症心不全患者さんの救命に取り組んでまいりました。
左室補助人工心臓には血液ポンプが身体の外に設置されるもの(体外設置型)と、身体の中に植え込まれるもの(植込み型)の2種類があり、当院では最新の植込み型LVADの装着術を行っています。
植込み型LVADを装着すると、重症心不全患者さんは退院して自宅で日常生活を送りながら、心臓移植を待機することになります。
学校へ行ったり仕事に復帰したり、社会復帰をすることも可能になります。
植込み型LVAD図 | 植込み型LVAD患者さんのリハビリ風景 |
心臓移植
現在のところ、北陸地方で心臓移植を実施できる施設はありません。
当院では心臓移植実施施設である大阪大学医学部附属病院と連携体制をとり、北陸地方の重症心不全患者さんが手遅れになることなく心臓移植待機リストに登録され、ご自宅で安全に心臓移植待機ができるようにサポートしています。
心筋再生医療(ハートシート)
自己の筋肉からとった「筋芽細胞」と呼ばれる細胞をシート状にして心筋に張り付け、心機能の改善を促す治療「ハートシート」は2015年9月に世界初の心筋再生治療製品として保険収載されました。
現在この治療は、大阪大学を中心に行われています。
大阪大学では今後、iPS細胞を用いた心筋再生治療も本格的に始まろうとしています。
当院は大阪大学の心臓血管外科との緊密な連携体制をとっており、希望される方にはこれらの治療を紹介することも可能です。再生医療に興味をお持ちの方は、お気軽にお尋ねください。